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春季例大祭

当社の春季例大祭は近年は 『けんか祭』 として知られています。近郷近在では、昔から 『十日の祭り』 と呼ばれ、毎年この 4月10日の日を待って祭り見物に多くの参拝客がいらっしゃいました。春はこの祭りを境にかけ足でやってきます。

けんか神輿


10日午前零時太鼓を打ち、祭りの始まりとなります。4時頃神輿堂より出された二基の神輿は舞台に安置されます。9時頃、潔めた身にハッピを羽織った、押上(おしあげ)・ 寺町(てらまち)両区の若衆が鶏爺を先頭に一の宮へと登社します。やがて神輿は舞台を離れ、押上・寺町の白丁にかつがれ、お練りという行列をつくって神苑を巡幸します。先頭は寺町の露払いで葉つき大竹の鶏爺で、鶏のかぶりものに赤い面をつけ、赤絹の小袖・タッツケで大小刀をさしています。警固の人々、払いヌサの神主、一の神輿、警固の人々。ついで押上の露払いで葉つき大竹の鶏爺、警固の人々、次が面箱で古い舞楽面が納められています。ついで肩車にのった美しい稚児たちが続きます。払いヌサの神主、二の神輿、警固の人々となっています。このお練りが神苑を1回半まわると、神主と稚児はそれぞれ拝殿、舞台へ上がります。それと同時に二基の神輿は猛然と走り出します。いよいよ神輿の競合の始まりです。勝てば、その年、その区は豊漁・豊作になるといわれています。押上は緋色のハッピ、寺町は萌黄色のハッピの手引にひかれ、神輿は走ります。やがて太鼓の音につれて、二基の神輿は、ガップリと組みます。若い衆の力と力の競合で、神輿はきしみ、方々がこわれてきます。観衆も熱狂します。これが『けんか祭り』 です。激烈な『けんか』 が数回くりかえされ、疲れ切った頃合いを見計り、舞台に押上・寺町両区の代表が上り、その合図により、太鼓の音がドンデンドンに変わり、御走りとなります。一の神輿が弊殿に上がるところを二の神輿が見つけると一の負け、二の勝ちとなります。やがて『けんか祭り』の『動』から、神苑は、舞台上の『舞楽』の『静』へと変わっていくのです。

天津神社舞楽(稚児の舞)

天津神社の舞楽は、俗に『稚児の舞』と呼ばれていますが『大人の舞』もあり、ともに特色がある美しいものとなっています。外来舞楽が日本化されて今日の宮廷舞楽が出来上がってますが、天津神社の舞は、この平安朝風宮廷舞楽でもなく能全盛期の室町風とも異なり、敢えて言えば鎌倉風とでも言うことになります。神楽や田楽とも又風流踊とも趣を異にして、能や風流出現以前の舞楽的な世界にあって創作された日本の舞であろうと言われています。

国指定 重要無形民俗文化財 糸魚川の舞楽 (昭和55年1月28日指定)

1.振鉾 (えんぶ) / 童舞二人

舞楽の初めに舞うもので、天冠を頂き、鉾を両手で捧げ、二人が同時に舞う。

2.安摩 (あま)  / 童舞二人

南方伝来の林邑楽とされ、面帽も面も装束も異国風で、手に桴をもち、4~6歳の稚児が舞う。

3.鶏冠 (けいかん) / 童舞四人

鶏冠をかぶり、胡蝶を背負い、菊の花を持って舞う。四人の稚児が花に遊ぶ蝶のように平和で美しい。

4.抜頭 (ばとう) / 大人一人

奈良時代に南方より伝来した林邑楽と言われ、父の仇の猛獣を捜し求め、格闘の末、討ちとり喜び勇んで山を下る様を表わすという。

5.破魔弓 (はまゆみ)  / 童舞二四人

頭には巻纓に老懸をかけた冠をつけ、装束は弓手を付け、太刀をはき、弓と矢を持って、悪魔退治をするという舞である。

6.児納曽利 (ちごなそり) / 童舞二人

稚児による納曽利舞で、面の表情も童児らしくてやさしく、丸形の面帽子もおもしろく、振り袖姿も優美である。

7.能抜頭 (のうばとう) / 大人一人

天津神社独得の舞で、腹をふくらませ、能楽の翁面に似た面をつける。尖がり帽子と白の小袖に巴紋を付けている所など、すがすがしい装束である。

8.華籠 (けこ) / 童舞四人

天津神社独得の舞のひとつで、四人の美しい装束の稚児が籠に盛った花を撤きながら舞う。

9.大納曽利 (おおなそり) / 大人二人

朝鮮伝来の高麗楽で、双竜舞ともいい、恐しい面に桴を持って、二つの竜が楽しげにはねる有様を表わしている。

10.太平楽 (たいへいらく) / 童舞四人

優美で可憐な武人の装束で舞い、その名の通り、乱世を治め、正しい道に直すという意味を表わすめでたい舞である。鉾・太刀を振って、豪壮雄大に舞う。

11.久宝楽 (きゅうほうらく)  / 童舞二人

太刀と楯を持って舞う。南方の林邑八楽のひとつで、奈良時代に渡来し、大阪・四天王寺に伝えられたという。

12.陵王 (りょうおう) / 大人一人

昔、中国の蘭陵王が恐しい面をつけて陣頭に立ち、敵を勇壮に打ち破った様をかたどった舞である。赤地金襴の面帽子に竜頭、吊顎の面をつけ、豪壮な装束に緋房のついた細い金色の桴を持ち、落日に舞う。